阿部やんと話終えたあと、少し考えてた。
『俺、勉強出来ないし…働く方が絶対向いてると思うんだよね!』
そう言って笑った水嶋君の顔を思い出して少し淋しくなる。
私は一緒の大学に進みたかったんだけど。
(別々になっても、一緒にいられるよね…?)
少し不安になって、彼の声を聞きたくなった。
けど、持ってないんだよね…携帯。
今時持ってないのも珍しいけど事情があるんだから仕方ない。
家にかけるのも遠慮するし、また明日にしようと部屋着に着替えた。
翌日、水嶋君家に電話をかけると女の人が出た。
『あら、川上さん?』
…て言うか、この声は千里ちゃん!
(何で、千里ちゃんが!?)「あ…」
ビックリして声にならない私をよそに
『碧なら居ないわよ』
と言い放つ千里ちゃん。
「いつ…戻るかな?」
恐る恐る聞いてみると『さぁ?』の一言。
取り敢えず帰ったら電話があった事を伝えて貰えるように頼むと無言できられてしまった。
(大丈夫かな…)
その日は何の連絡もなくて、次の日も、その次の日もかけてはみたけど留守だった。
(やっぱ何かおかしい…)
そう思った私は、直接水嶋君の家を訪れる事にした。