深見がアタックし始めて一週間が過ぎた頃、休日を優雅に漫画と紅茶で過ごしていた。
すると、
ブーブーブー・・・・
常時バイブ状態の俺の携帯がなった。
「発信元・・・深見か・・・」
今度は何の相談だろうかと、思いつつメールを見た。
「ん?『やっぱさ、俺ってバカだよな。多分電車男は作り話だぜ』って・・・・おい、まさか!」
色恋沙汰にはあんまり関していない俺は最悪のケースが頭によぎった。
こいつ・・・・告ってフラれたかも・・・・
とりあえず、慰めよう!
「電車男はドラマチックだけどマジ話だし。まぁ楠木さんは最強の面食いかもな。だから気にすんな!」
「(笑)」
「は?何?」
「単なるアフリカンジョークさ!」
試験が近づいて来てるからと言って切る。優雅な日が一瞬にしてウザイ日に変わってしまった。
次の日の放課後、俺と高宮は職員室に用事で行くと担任の先生が、
「おい、楠木を呼んできてくれんか?」
「あ、ハイ。」
教室に戻り、「楠木さん」
「ん?何?」
と可愛らしい声だ。これが「萌」ってやつだな。
「先生が呼んでるよ。」
「うん。あ、ねぇ先生怒ってた?」
「まぁ少し・・・。」
「ホント?この前の持検(持ち物検査)で、CDが見つかったんだ。」
「あ、コブクロのやつ?」
「そうそう!え、何で知ってるの?」
「先生の机に置いてあったからさ」
「あぁね、私好きなんだよねぇ。」
「俺もあれ持ってるよ、好きだし。」
「ホント?」
すると、帰る準備をしていた高宮が、
「楠木!先生のとこ行かなくていいのか?」
「あ、そうだった。川崎クン(俺)また話そ。じゃ川崎クン、宮っち、またねノシ」
楠木さんは急いでいった。
ちなみに高宮は男女問わずクラスNo.1の人気がある。楠木さんとは同じ小学校だ。つまり深見と楠木さんを介した張本人である。
「仲良くなるのは良いけど程々にしとけよ。深見が狙ってるんだから。」
「俺は他人から奪うほどの腕も気力ねぇよ。」
「お前は分かってねぇな、ホントに。」
「何が?」
「何でもねぇよ!」
後はテキトーに話しながら帰った。