ベンチのない公園

マサムネ  2007-07-30投稿
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この公園にはベンチがないから、大きな時計の柱によりかかって君を待つ。
ポケットからイヤホンを引っ張り出したけど、音楽より先に君が呼ぶ声が聞こえて、イヤホンをポケットに突っ込んだ。
この公園にはベンチはないから、君はすぐに僕の手を引いて歩きだした。
前に来た時より、また少し夏の色が増えた町を君と歩いた。君は前来た時となにが変わったのか僕にはわからないショップで、何度も同じ質問を僕にした。
ショップをでて町をブラブラと漂う。何気ない町並みも君を加えると絵画のように僕の心を引きつけた。
君が時計を見て急に閉じた。あんなに欲しがったスカートも袋に入って僕の腕でにぶら下がっていては輝かないらしい。
「疲れた?」
僕の問いかけに笑顔を返して、また君は僕の腕を引っ張った。
楽しい時間は誰かに奪われるように過ぎ去る。
すっかり暗くなった公園に帰ってきた。
この公園にはベンチがないからこのままお別れ。
「寂しい」
途切れそうになりながら君の声が僕に届いた。僕は君をそっと抱きしめた。僕に涙を見られたくないのか震えながら離れなかった。しばらくそのまま時間が流れた。
この公園にはベンチがないから、僕らは立ったままキスをした。

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