紅いアクマと私03

 2007-07-31投稿
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これは人間じゃない−−−

こいつの肌に浮く汗を拭こうと手をのばした。なぜそうしようとしたかはわからない。
手が触れ−−−

私はすぐに手をひっこめた。


冷たい。
ひんやりと。
こんなにも熱そうなのに。

なぜ?なぜ?なぜ?・・・・
こいつは・・・
人じゃないからいいのか。勝手に納得。

こいつの汗をタオルで拭く。タオルは少しずつ冷たくなった。


突然、

この生物が苦しそうな声をあげた。
見ると、翼の片方が黒ずんででいた。
そしてその翼は・・・むしられたかのように、隣と大きさが違った。
鳥の羽にある手羽先はなく、つまり中身はないらしかった。

その羽の残りがどんどん黒く染まっていく。
こいつも苦しそうだ。
息が荒い。

私は何もできなかった。

次第に羽は元の紅に戻ってきた。
呼吸も落ち着いてきた。

私はまだおどおどしていたが、ふと、目が会った。
真っ黒な瞳。
何を考えているのだろう。

相手の目が閉じる。
顔を近づけて見ると、どうやら寝てしまったようだ。


ここで私の頭は恐ろしく冷静になった。

部屋、片付けなきゃ。

部屋は紅い羽が一面に散らばっている。
拾うのは骨が折れそうだが、しかたない。

私はしゃがみ込むと、紅い羽を拾い始めた。

こいつの寝顔をふと見ると、とても穏やかだった。

人間みたいに。



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