「我が名はヘパイストス」
全身を覆う大きなマント
目の部分しか空いていない仮面
180cmくらいの長身
「あっ」
「汝名は?」
空気が恐ろしい
「名は?」
「…永(えい)。加山永だ」
それ以上におもしろい
「では契約しよう。我の主よ」
ヘパイストスの手が永の頬にのる
…冷たい…
冷た過ぎて火傷しそうだ
「ちょっと待てよ」
「何だ?」
「これから契約するのに顔も見せないのか?」
ヘパイストスの手を振り払い立ち上がる
ニヤニヤしてるのがバレないように、後ろを向いてペットボトルに入っていた紅茶を飲みきる
「…それは……無理だ」
「何故?」
後ろを向き続ける
「醜いからだ」
「醜いねぇ……」
「12神の中で一番醜い」
「ふーん。…12神?神?」
ヘパイストスの方を向きなおした
神?
神…
神
おもしろい
実におもしろい
とうとう俺は笑いを堪えきれずに吹き出した
「あはッッあひ」
最高じゃないか
最高の暇潰しだ
「ヘパイストス!!契約しよう」
「仮面は?」
「後で見るよ」
我汝と契約す
我の名はヘパイストス
火を司る神である
ギリシャの民の名の元に生まれしこの命
汝のたがために使おう
CONTRACT