ヤス#115
それは、いつも絶賛の電話だったのだ。泰子は成長したヤスに会いたくて、我慢できずにやって来たのだった。
大将は忙しい。挨拶と丁重なお礼を述べると奥へ消えていった。
「お母さん。感謝しているよ」
「やっちゃんにそう言ってもらうと嬉しいわ」
「じゃあ、着替えをとって来るね」
「うん。待っているわ」
寮に行く途中、女将さんに会った。
「女将さん。泰子おばさんと出かけますね。明日には帰りますから」
「そうしなさい。甘えるのよ」
「あの…女将さん」
「なーに?やっちゃん。ふふっ」
「気なるんですけど…その…ふふっ……が」
「あら、何故かしら?ふふっ」
「女将さんは泰子おばさんと親友ですよね?」
「そうだけど。ふふっ」「…やっぱり良いです。じゃあ、行って来ます」
「戻りは明後日でいいわよ。ふふっ」
ヤスは立ち止まると、女将に向かって深々と頭を下げた。
ヤスと泰子は、女将が手配してくれたタクシーに乗った。
「じゃあね。お二人とも頑張って!ふふっ」
女将に見送られて、タクシーが滑りだした。「ねぇ、お母さん」
「なーに?やっちゃん」「お母さんと女将さんって…どんな関係?」