一安心したので俺は風呂に入った
風呂から上がって寝る準備をする
和也明日には出てこれるやろ…
なんて
歯磨きをしながらぼーっと
してたら
ふいに
ふいに何故かあのちびの最後の笑顔を思い出して
交差するように
あの頃の自分が蘇ってきて
ふたつが
重なった
カシャン―ッ
歯ブラシが音を立てて洗面所にぶつかった
―アホか!
走った。
俺はその辺に散らばっていた靴を適当に足に突っ込んで玄関を飛び出した
走った。
1人1人を確認しながら
辺りを見回しながら
公園.コンビニ.駐車場.商店街.駅
全部回った
あいつのそれらしい特徴を思い出し辺りの人に訪ねた
見たような見なかったような
さぁ―…
見てない
それが返答だ
無理もない。チビが出てったのは3時間以上も前や
どこや!
アホか!本間のバカか…!何やねん!
周りの不審な視線は今は気にしてられんかった
ジャージはいいとしても
髪は濡れてるし
急いで履いたもんは健康サンダルやし
しかも気付いたんさっきやし
これで駅行ったし
風呂上がりのおっさんか…ってそれ以前の問題やし
何か
何かすごいしんどいし
「…ハ……ッハ…ッ」
あかんしんどい…
ほとんどを駆けずり回った後息苦しさに気付いて人気のない公園のベンチに腰掛けた
「…はぁ…は……
ハァ―…」
鼓動が落ち着いてため息が漏れる
「「…っどこやねん!!」」
イライラした
あの笑顔を思い出しただけで
今頃気付いた自分がもどかしくて