私には母も父も兄弟もいない。
母は病気で五年前に亡くなった。父は交通事故で去年亡くなった。もともと一人っ子だったので兄弟もいなかった。
私は大阪にいるおばにひきとられた。
私は大阪の高校に入学した。すぐに友達ができた。入学式から二週間がたったある日。転校生が来たのだ。私のクラスの一年二組に。教室のドアが開いて先生と転校生が入って来た。
「和歌山から来た上島優太です。よろしく!」
一目惚れだった。なんだか昔から知ってるような感じがして一目で好きになってしまった。
その日からだんだん上島君にひかれていった。
私は思い切って上島君にメールを送ることにした。
「同じクラスの上島奈美やけど、メールしませんか?返事待ってます。」
とてもドキドキして手が震えた。すぐに返事が来た。
「これからいろいろよろしく!」
嬉しくてたまらなかった。次の日から私達はとてもよく話すようになった。だんだん彼のことがわかってきて、もっと優太のことが好きになった。 優太のことが好きで好きでたまらなかった。高校一年の終業式、私は思いきって優太に告白することにした。
帰ろうとする優太を引き止めて思いきって言った。
「優太、好き!大好きや!!付き合ってくれへん?」
一瞬前があった。
「ごめん。奈美、本間にごめん。」
そう言って優太は行ってしまった。私は泣き崩れた。こんなに好きでたまらないのにあっさり失恋なんて、悲しすぎる。 泣いても泣いても、涙が止まらなかった。
春休みが終わって私は二年生になった。
私はまた二組になった。
優太とは離れてしまった。放課後先生がいきなり私を呼び出した。
「上島、お前上島優太と一卵性の双子やったんか、全然知らんかったわ。」
頭が真っ白になった。意味がわからない。双子!?私と優太が!?私は家に走った。おばにとびかかって優太のことを聞いてみた。涙が止まらなかった。
優太は生まれた時から体が悪くて東京の病院で暮らしていた。そして去年一年の余命宣告をうけてたった一人生きている家族に会いに転校してきたのだ。そして昨日、亡くなった。
こんなことってあるのだろうか。優太は私の片割れだったんだ。双子の兄弟だった。たった一人の、たった一人の兄弟、そして、私が愛した人・・・
優太・・優太・・・ 何度も何度も呼び続けた・・・。