さくら〜後〜

マサムネ  2007-08-02投稿
閲覧数[254] 良い投票[0] 悪い投票[0]

夜になるまで僕は君といた場所を意味もなく徘徊した。準備といっても心は決まっていたので他には特に思いつかなかった。君とよく行った服屋で君の好きだったブランドの服を買った。
何度か夜中に君に会いに忍び込んだことがあったから、君を迎えに行くのにも困らなかった。病室の扉を開けると君は窓の外を眺めていた。僕はそっとその横に座った。
「すごく気分がいいの。病院に来てからこんなに元気なのははじめてよ。」
ホントに少しだけ元気が戻ったみたいだった。
「じゃぁ行こうか」
僕は袋から今日買った服を取り出した。君はホントに嬉しそうに笑ってくれた。もう一人では着替えられない君を手伝った。服を脱いだ君の体にこらえていた涙がこぼれた。君に見られないように急いで拭った。以前の君よりかなり小さく見積もった服も少し余裕があった。暗くなる僕に君はおどけて見せた。
「かわいい?」
病気と恐怖に押しつぶされそうになりながらそれでも僕を思ってくれる君。僕は押さえきれず泣きながら君を抱きしめた。君も張り詰めていたものがほどけたみたいに泣き出した。僕らは抱き合ってありがとうとか愛してるとかそんなことを言い続けた。これから先ずっと言いたかった言葉を全部。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 マサムネ 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]
乾燥でうめぼし肌
⇒改善はこのクリーム


▲ページトップ