夢の道しるべ〜時間〜

グレイブ  2007-08-03投稿
閲覧数[180] 良い投票[0] 悪い投票[0]

彼が気が付いたのは、病院の個室ベットの上。

「あれ、僕は・・・。」

横に目をうつすと、母親がベットに突っ伏したまま寝息を立てていた。

「確か、家の前で・・。」

そう、彼は家の前で、事故にあったのだ。
よくあるような、車の脇見運転。

母親を起こさないように静かにベットから降りる。

点滴やらなにやらはないようだ。

「・・・?」

微かに見える、空中に浮かぶ線のようなもの。
彼が手を触れると、「それ」は確かな線となり、手の動きに合わせて軌跡を描いた。

試しに人が通れる程の枠を描き、中に入ってみる。

何も、変わらない。
でも、何も聞こえない。
スリッパを擦る音も、微かに聞こえていた道路からの騒音さえ。

「え?何、これ。」

混乱しつつ発した自分の声も、少し、こもっていた。

もしかしたら、幽体離脱かと思って、自分のいた部屋を覗き込む。
そこには、自分の体どころか、母親のすがたも無かった。

彼は混乱した。
病院の中をくまなくさがしてみても、誰もいない。

道路にでると、車が道路に止まっていた。

もしかしたら、と思って駆け寄っても、中に人はいない。

まるで、世界中の人が居なくなってしまったようだった。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 グレイブ 」さんの小説

もっと見る

ファンタジーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ