長い年月のなかで−−−何度か歴史をかえてきた
[戦い]があった
[戦い]で生き残った者は
どんな願いでも
叶えることができた
この世に生をうけた者は
その日を夢見て
己を鍛えあげていた
そうして人々は特別な力を手に入れた
しかし人はどこまでも
貪欲だった
個人の夢だったものは
やがて国の目標となり
彼らは国のために
使われるようになった
[戦い]に参加することを
望まないものも巻き込み
世界は混乱した
[戦い]は不規則に起こるため、夢を見ながら死んでいった者も少なくない
そして今−−−−
この世をかえる歯車が
−−−うごきだした
守るべきもの〜1〜
木々の中を駆け抜ける
周りは静寂
自分の息だけが
唯一の音だった
そんな中−−−
一羽の大きな鳥が
少女の前におり立った
「?」
それは<忍頭>からの
収集だった
「なんだろう?こんな朝早くから…」
少女−−神月 白冬(かんづき ゆき)は、そう思いながらも、忍頭のところへむかった
白冬の世界では、
特別な力を得た者・得ようとする者は
<忍>とよばれ、
国の軍として扱われた
大名や他国からの依頼をうけたりして、国の財政を支えている
忍は強さ等によって、
何段階かにわけられた
なかでもエリートが集まるのが、<闇忍>だった
<闇忍>はもっぱら暗殺専門に仕事をすることから
そうよばれた
人を殺せるほど心身共に強い者のみがそこに入れた
白冬はまだ幼いながらもある特別な理由で、
闇忍として存在していた
コンコンッ
「失礼します」
仕事を貰うために
よく来るその部屋に入る
「白冬、来たか。すまないな、いきなりよびだしたりして。」
三十代位の忍頭が
待っていた
「いえ、大丈夫です。何かあったんですか?」
静かに扉を閉めながら
白冬は聞いた
「いや、そういうわけでは無いんだ。」
「?」
忍頭は一枚の紙を渡して こう言った
「これからはこの小隊で忍務をしろ。顔合わせは、今日の十時だ。」
「?!」