井上は、謝ってる私にも関わらず何も言わない。
(無愛想だな〜)
怪我はしてないみたいだ。良かったと胸を撫で下ろす。
安心するとともに、立て掛けてあるスケッチブックが目に入って来た。
「絵、描いてんの?」
私が覗き込もうとすると、井上が隠すように伏せた。
「加島〜!!!お前か(怒)」
いきなり戸が開いて担任の志村が入って来た。
(ぎゃー!怒られるぅ)
「井上、大丈夫か?」
「はい…」
(何だ、喋れるんじゃん)
私はむくれながら二人のやり取りを見ていた。
後から駆け付けた保健教師に井上を預けると私に向き直る志村。
「お前はこっち来い!」
「きゃー、勘弁してケンちゃんっ」
志村だからケン。ホントはケンって名前じゃないけど(笑)
私は引きずられるように職員室に連れて行かれた。
「どうだった!?」
教室に戻るとサヤが心配そうに聞いて来た。
「も〜最悪!女のクセして高校生にもなって少しは落ち着けってケンちゃんに散々説教食らうしさ…」
「あ〜、でも相手も怪我なかったらしいじゃん?まだ良かったよ」
サヤも苦笑いだ。
まぁ、確かにそうなんだけど。
ただでさえ病弱なイメージあんのに怪我でもされたら大変だっつの。