俺達は情報交換をし、俺は多くのことを学んだ。
まず、こいつは人間の女で女子高生という仕事をしているらしい。そして、女子高生というものは、スカートを短くするために金具を使い、奮闘するらしい。
あほらしい。
また、こいつには将来伴侶となる可能性の高い彼氏という恋人はいないとのこと。
だからどうした。
正直、どうでもよかったが、
こいつの表情の変化には心惹かれるものがあり、退屈はしなかった。
奴の顔をじっと見ていると、視線に気付いたのか奴は話しをやめ、俺を見る。
「なによ・・・えっと・・・アルカディア・・・だっけ?」
奴がたどたどしく、俺の名前を口にする。
その様子がおかしくて、思わず笑ってしまった。
「アルでいい」
向こうでもそう呼ばれていた。
「・・・わかった」
奴が笑う。
俺はあることに気付いた。
「ジュリア」
突然、名前を呼ばれて、私の体が震えた。
友達や家族は私のことを「じゅり」と呼ぶので、本名で呼ばれるのは久しぶりだ。
男子に呼ばれるのは、初めて。
は、と気付くと、
アルの顔が近くにあった。
声がでない。
アルの吐息を感じる。冷たかった。
アルは身を乗り出し、迫ってくる。
私の鼓動が激しくなる。
アルは私の髪に触れると、一言言った。
「なんで染めるんだ」
「え?」
髪?
確かに染めてるけど。
そう、私の髪は茶色い。高校生だし、やっぱ茶色い髪ってなんかよくない?
「黒い髪なのに」
アルが私の顔をじっと見る。
美しい黒い目。
吸い込まれそうなくらい真っ黒。
こいつ、かなりのオトコマエじゃない。
どきどきが止まらない。
ふいにアルが私の髪を引っ張る。
すると、私の髪は
もとの黒になっていた。
「え・・・?」
色が・・・戻った?
なにこれ。
アルを見ると、奴は笑っていた。
その顔が、妙に人間らしくて、
私の鼓動が激しくなる。
どうしよう。
どきどきが止まらない。