処刑生徒会長3

まっかつ  2007-08-05投稿
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生徒会長室に入った梅城ケンヤは、向かいの体育館に吊し上げられたイジメグループの死体を眺めながら、自分の机に置かれた紙を手にした。

処刑に反対する教師達の抗議文だ。

だが―\r

『こんな物に…何の意味が有るんだよ』

ビリビリッ!

せせら笑いながらケンヤはそれを破り床に棄てた。

刑罰こそ与えれないが、生徒会長は教師を自由に任免出来る。

校長ですら例外ではないのだ。

今や風紀委員は彼の私兵と化し、銃火器で武装している。

これで誰が逆らえると言うのか?

ケンヤは窓外で無様に揺らめく死体達に向かって、遠慮なく言葉をかけた。

『銃殺は派手だが、一瞬で死ねる―絞首刑よりはマシだろう?そんな恨みがましい顔で見ないでくれる?むしろ感謝して欲しい位だな』

そして―\r

『これで俺が始末したのは26人になるか…』

そっけなくもとんでもない記録について口にした。

ようやく机に座り、彼は回想した。

昔―そう、遠い昔だ。

日本は世界でも最も高い規範意識と教育水準で名をはせたそうだ。

それがどうだよ―梅城ケンヤは皮肉気な笑みを浮かべた。

今や高校まで含めた全学生の内・三割が不登校・リストカット経験者が七割・毎年イジメで一万人が自殺し、薬物汚染で三0万人が検挙だそうな。

そう、学校は完全な無法地帯なのだ。

一時は警察の介入で押さえようとしたが、おりからの予算不足と治安の悪化で配置された警官はすぐに撤収して行った。

教師達はどうか?

既に1980年代にイジメが深刻化してから、彼等の対応は知らぬ存ぜぬの一点ばりだ。

それは今でも変わらない。

いや、今では全てを都合良く生徒会の自治に委せきりで、ただの知識伝達マシーンと化してしまった。

多少頑張った教師も、凶悪化した生徒による暗殺事件のターゲットになって、あらかた消されたか教育界を去っている。

だから必要なのさ―梅城ケンヤは確信しているのだ。

俺みたいなリーダーが。

だが、これはほんの第一幕に過ぎない。

生徒会長は旨みの有る仕事だ。

イジメグループや教師と結託して、利権や賄賂で金儲けに走る奴や、処刑を否定する穏健派も確かにいる。

だが俺は違う―梅城ケンヤは力強く呟いた。

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