遠くで犬の鳴き声…
蛍光灯に集まる虫の音…
そして…先輩と私の靴の音
それだけが辺りに響いている…
―気まずい…―\r
まず思った事はそれだった話す内容が思い浮かばない。
―なにかを話さないと―\r
そう思い、必死に考える。
―そういえば…―\r
しばらく考えて思い付く。「先輩!あの日なんで泣いていたんですか?」
そう!ずっと気になってはいたが聞く機会がなかった事…
「あ、それ…は」
とたんに先輩の顔が暗くなる…
「あ。すいません…」
悪い事を聞いたらしい…
素直に謝る…
「優ちゃんは…どう思うかな?」
「え?何がですか?」
「……引くから止めた。」「ひきません!悩みがあるならどんな事でも相談のりますよ!?」
「うん…」
先輩は言いにくそうに口をひらく…
「優ちゃんは…同性を…好きになった事ある?」
「好きな子はいっぱいです!(笑)
「いや…そうじゃなくて…」
また、しばらくの沈黙…
「好きって…恋愛対象で…」
と、小さな声でやっとの思いで言う…
言ってた意味がよく分からない…
「あの…それはどーゆう事でしょうか?」
おずおず質問する…
「俺…言わばその…あ。一応女の子とも付き合っていた時もあるよ!?だけど…基本的…その…俺…あれなんだ…」
何と無く言っている意味が分かってくる…
「それは…巷(ちまた)で言うボーイズラブ…ホ…その…先輩…が?」
頭で理解し、それを伝えてみるが頭が混乱し、ちゃんと説明できない…
「……引くよね?」
寂しそうな顔で先輩が私を見る…
=物好きだね…=
図書委員の女子の言ってた意味がわかった…
きっと知っていたのだろう…
「優ちゃん?」
「ひきません!私は先輩の味方です!」
「本当?」
とたん、先輩の顔が笑顔になる…
かわいい…
「はい!何でも相談してください!」
「じゃあ、今好きな図書委員長の長瀬さんと…仲良くしてください!(笑)」
「あ?先輩と長瀬さんね?」
………。
「って…えぇ!?」
「無理?やっぱ長瀬さん男だし…つーか俺の事やっぱ…」
「ち…違いますよアハハ?」
と、笑ってみるが…今私は……
かくして、私は私の好きな人の恋を応援する事になってしまったのだ…