地球まで帰るには、後二ヵ月はかかる。
この宇宙船の燃料は太陽電池で何とかなるとしても、乗組員三人分の食料は残り一週間分しかない。
丁度その時、右前方に、大気反応のある、緑色の惑星が見えてきた。
二人の乗組員に相談し、食料確保以前に、生命体の発見につながる可能性もあるので、着陸を決定した。
平らな岩盤上に着陸してから、船外に出て調べたところ、緑に見えたのは地表に張りついたコケ類で、草木や果実は無く、川や海も見えない。
しかし、測定器によると呼吸するに十分な空気はあるので、一度船内に戻り宇宙服を脱いで、出直した。
宇宙船から二十メートル程進んだとき、三人の足はピタッと止まった。
二百メートル位先の平原に、何か動いている。人の形をしている。長い影を引きずりながら、ゆっくりと歩いてくる。人数も、こちらと同じ三人のようだ。