君の家のベルを鳴らした。
いつもより着飾った君は僕には美しすぎるようで少し照れた。
君と散歩以外にどこかに行くのは初めてだった。
初めての二人での町に君ははしゃいでいた。最初は君の一歩一歩が不安で君とのお出かけを楽しむ余裕なんかなかったけど、しだいになれてくるとやっと君の笑顔を楽しめた。
目の見えない君に僕は町の一つ一つを大袈裟過ぎるほど説明した。
今日君との町の歩き方がわかった。
そうやって少しづつ君が僕の中に入ってくる。
君の目にはなれないけど、君のかけがえのないものになってみせるよ。
世界中の美しいものを見せてあげることはできないけど、もっと素晴らしいものを君にあげるから。
言い過ぎたとは思わないよ。
初めてのデートでクタクタに疲れた君の笑顔はそれほど愛しかった。