それは一人の男の子だった。
ほとんど金といってもいいくらいがんがんに染められた、流れるようなストレートの茶髪。
背はちびな私よりずっと高く、目が大きく鼻も高くて、まるでテレビにでてる若手の俳優さんみたいだった。
彼は泣いている私のところまで来て、指の爪ほどの、ほんとに小さな青く透き通った宝石を私に差し出し、にっこりと微笑んだ。
『これを飲めば、可愛くなれるよ。スタイルだってよくなる』
そんな話、信じられなかった。
でも、そのときの私は、何かにすがりたくて、どうしようもなかったのだ。
私はすぐさまそれを受け取り、飲んでしまった。
そして、私は変わった。
ぼさぼさでごわごわだった髪は、さらさらでちょっと茶色がかったきれいなウェーブを描き、ゴマみたいだった目はぱっちり大きな二重に。
頬のニキビやそばかすは消え、肌は雪のように白くなった。
ちょっと小柄で童顔なのは気にしない。
私は変わったのだ。
そのときの男の子っていうのが、今まさに私の相棒としてやってる秦野黎なのだ。
事実上、あの瞬間こそが、私たち『デイドリーマー』結成の時だったといっても過言ではない。