君だけを(8)

じゅりあ  2007-08-07投稿
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井上も、調子が良いのか最近は休まず来ていた。
私が来るようになって一週間くらいか、さすがに「暇人」と罵られたけど。
どーせ、暇だし(笑)
井上みたいに特別やりたい事がある訳じゃない。
当然、将来の夢もある訳がなく…。
一度聞いた事があった。

「井上はやっぱ画家になりたいの?」

答えはイエスだ。

「井上ならなれるね!絶対」
お世辞じゃない。
なれるよ、絶対。

「だから早く、それ見せてよ」

スケッチブックを指差すと、
「カンケーねぇだろ」

とか言われたっけね。



数日が経っていつものように美術室へ行った。

「寝てる…」

珍しい。
机に顔を斜めにして俯せてる。
若干見える井上の顔が、結構イケメンだと知った。

机の隅っこに小さなメモ書き。

「出来たぞ」

ってそれだけ。

丁寧に布を覆われたそれをめくる。

以前見た時は、色がなかったけど今は鮮やかで、だけど人を穏やかにするような背景。
そこに、井上の好きなモデルさんが立っている。
そんな絵だ。

(凄い…コイツもしかしたら天才!?)

肩を叩いて叫びたい気分だったけどさすがにそれはやめた。
疲れてるだろうから。

代わりにメモ書きした。



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