俺と親父の言い合いを女生徒はクスクス笑いながら見ていた。
癖なのだろうか?
女生徒は笑う時かならず右手を口元に置く。
その仕草がたまらずかわいかった。
言い合いも疲れてきた所に女生徒が近づいてきた。
「あのう、そろそろ学校案内したいんですけど……」
どうやらこの娘は生徒会長らしく、転校生をクラスに案内してくれと先生に頼まれたらしい。
しかし、この学校はホントに綺麗だ。
遠目から見ればどこかの貴族のお城と勘違いするくらいに。
校舎に入り最初に目についたのはかなり大きく、とても古い石段だ。
「これは何ですか?
あっあの…」
「日野 朝日(ひのあさひ)だよ。
朝日で大丈夫。これは礼拝堂見たいなもので、この学校の生徒は毎朝この石に挨拶するんだ。」
まあ、こんくらい豪華な学校なんだからこういう宗教じみたことがあってもさほど驚かかなかった。
よく見ると文字らしきものが沢山刻まれている。
(剥げててよく読めない)なんて書いてあるか聞こうと思ったが、急いでるみたいなんで聞き損なった。
階段を一つだけ上がり、すぐの教室の前で
「ついた。」
どうやらここが俺のクラスらしい。