生まれた時から父はいません。
生きてるのか死んだのか、わかったのは十三歳のとき。
近くにまだ一人で暮らしている事はわかったものの、逢いたいのか逢いたくないのか、自分の気持ちが分からなかった。
母のことを思うと、父に逢いにはいけなかったし、父の話しすら出せなかった。
父親がいなくてこまったことはない。悔しかったこともない。
だけどいま。自分が母親になろうとしている今。
あなたに逢いたいと切に思う。なんでだろう…
私の顔なんて知らないのにね。もしかしたら、私の存在自体を知らないかもしれない。
逢って、なにかしてほしいわけではない。
ただただ、私がこうして生きていて、命を授かったことを伝えたい。あなたのおかげで、こんな大きな幸せを感じられたことを、伝えたい。
いま、とても幸せなことを伝えたい。
あなたが父親としてしてくれたこと。
それはこの世に私を連れて来てくれたこと。いま、感謝の気持ちでいっぱいです。