「ねぇ…お母さん?」
「なぁに?優ちゃん?」
「お母さんは同性を好きになった事ある?」
その日、家に帰ると珍しく母が一人で夕飯を作っていた。父は残業、弟の潮は昨日から宿泊学習…
しばらく沈黙が流れる…
やっぱ質問が悪かったのだろうか?と、思った…けど…
「いたわよ?」
その答えに耳を疑う…
「あのぅ…それは恋愛対象で?」
「そうよ?」
と母は、笑いながら答えた。
「…告白したの?」
「してないわよ?告白して変な目で見られたら嫌だったもの」
珍しく母は真剣な顔つき…「お父さんは?」
「唯一の理解者かしら?色々その子の事で相談したわ…皆、気持ち悪いって言うのにお父さんは違った…人を好きになるのは当たり前…相手が同性でも好きなものは好き…だったらそれでいいじゃん……って言ってくれた…嬉しかったわ…理解者が出来て…」
母は懐かしいそうに話をすると、
「優ちゃんはどうしたの?そんな事聞くなんて…」
と、優しく頭をなでながら私に聞く…
「あ…あのね…私…好きな人がいるの…」
それからいろんな話をした…
先輩の事…
自分の思っている事…
全部話すと心が落ちつき、すっきりした…
「優ちゃんは…どうしたいの?その先輩の応援したいの?それとも、優ちゃんに振り向くまで自分で頑張りたいの?」
「…分からない…けど…後者かな?」
「だったら頑張って自分で努力しなさい。話…またいつでも聞いてあげるからね…」
「うん…ありがと…」
先輩が振り向くまで…
頑張るしかない…
そう思った…