思えば―\r
『今日は俺の誕生日だったか』
梅城ケンヤは皮肉気な笑みを浮かべた。
そう、今日7月13日をもって、彼は13才になった。
学校史上、入学いらい最短で彼はこの座を手に入れた。
先代会長の汚職事件が発生し、強制辞任させられたのがきっかけだった。
臨時選挙に颯爽と立候補した梅城ケンヤは、『イジメその他の校内問題と断固闘い抜く』をスローガンに、一年生にも関わらず奇跡的にトップ当選を果たしたのだ。
生徒達はうんざりしていた。
長年に渡って教師・不良・イジメグループとなあなあでそれを『現実的で柔軟な生徒会運営』等と主張して憚らない停滞しきった学校を。
梅城ケンヤは改革派のホープとして、それこそ悪者達を殺しに殺しまくった。
更にその十倍に及ぶ癒着関係者を追放した。
死刑囚の中には、旧生徒会の幹部も二名含まれていたのだから、正しく彼の容赦のなさは折り紙付きだったのだ。
当然の如く生徒達は彼を熱狂的に歓迎し、それは90%を越える支持率に端的に現れていた。
彼の公約はこうだ。
1・イジメを撲滅し平和な学校を造る
2・イジメの被害者の救済に全力を注ぐ
3・学校の治安の向上を元に学校のランクを上げ全国から優秀な生徒を集めて名門校を目指す
今の所、1と2はほぼ達成されたと言って良い。
では3はどうか?
今やイジメ・リストカット・薬物・性的頽廃の無い学校等、日本には存在しないと言って良い。
だから一部の大金持ちは子弟を外国に送り、逆に子供を学校に行かせないで大検を目指させる親が急増し、社会問題となっているのだ。
だから裏を返せばそれ等の問題点だけ排除すれば、幾らでも優秀な生徒はやって来るのだ。
しかも、教育省の覚えもめでたく、莫大な補助金も降りるだろう―\r
その一部は当然、梅城ケンヤの新たなる軍資金になる
―だが、そんな事はどうでも良いね―\r
梅城ケンヤは席から立ち上がり、さっと室内のカーテンを閉めきり、カラスの餌達の見苦しさをシャットアウトした。
―誰も知らないだろうな。
俺の望みは改革何かじゃない、復讐なんだよ
誰もいない部屋で独り、生徒会長は自分の顔に陰影を刻ませた。