12才の私はまだ、女形という職業に抵抗があった。幼さ故の色香があったのだろか、きっと今とは違う雰囲気を醸し出していたのだろう。それゆえに、周囲の子供達とも距離があった。 「気持ち悪くなんかない。逆に嬉しいくらいだよ」 私は言葉の意味が解らなかった。 「母さんが言ってたんだ。最高に美しいものを見たり、聞いたりしたら、脳より先に体が喜ぶんだって。だから、ぞくってする」 そんなことを言われたのは初めてで、私は驚いた。しかし、この時に初めて女形の魅力を理解することができた。
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