深見と楠木さんは互いを見て驚きながらも二人とも平静を装い、
「お、楠木さん!何してるの?」
「私は母親を待ってるの。」3人「・・・・。」
俺は携帯を取り出すと、着メロが流れた・・・・いや、正確に言えば鳴らした。
「今親からメール来て、帰って来なさいって言われたから帰るよ!」
それを聞き、深見は期待感のある顔をしたが、
楠木さんが少し怪訝そうな顔をして、
「じゃ私も帰ろうかな、暇だし!」
深見のテンションがグランドキャニオン並みに落ちて、深見も帰ると言った。
結果がどうであれ、楠木さんと二人にしてやれなかった・・・・何やってんだ俺!!
〇| ̄|_
3人で駅まで歩き、電車では深見と楠木さんが終始喋っていて、俺は二人の潤滑油になっていた。
深見から来たら「楠木さんは?」、楠木さんから来たら「深見は?」
基本的にこの二つか窓の外を眺めることを使い分けた。
電車を降り改札口を出ると左、真ん中、右の三つの道に別れている。
深見は「じゃあな!」と手を振り、左に進んだ。
川崎も「二人とも明日学校で!」といって、右に進んだ。
「私もこっちだから。」と楠木さんは右に来た!
一緒帰ろうと言わんばかりの目で見られる・・・・
そんな可愛い目で見られると彼女いない暦=年齢の川崎は弱い。
深見に対する罪悪感でいっぱいだった。
少しの沈黙の後、楠木さんは口を開いた。
「ねぇ、親からのメール嘘でしょ?」
「え?」
本気で動揺していたが、余裕はあまり崩さかなった。
「親からメールとか来てないでしょ?」
「な、何で?」
「これ。」
「・・・・ん?俺と色違いの携帯がどうかした?」
「察しが悪いなぁ。これ私の携帯!」
「え、マジで?」
内心少し嬉しかった。少し古いタイプの携帯であまり売れてないものだったから。
「川崎くんの操作を見るかぎり、メールボタンを押してなかったから。」
これ以上言い訳したところで、「証拠見せて。」の一言を言われるとどうしようもない。
「バレた?いやぁ昨夜、完徹してて眠かったんだよね。ハッハッハッ」
「それならいいんだけど・・・・。」
楠木さんは呟くように言った。