「それでツトムの話って何。」元中はテーブルに身を乗り出した。
「実は俺…好きな人できたんだ…」精一杯の勇気を振り絞った。
「マジ。よかったじゃんツトム。ツトムにもやっと春が来たね。」元中は満面の笑みで俺に言った…
「それで誰なの。私の知ってる人。」ストレートな質問に俺は一瞬冷汗をかいた…
「知ってる人かな…」俺は少し濁した返事をした…「誰なの。教えてよ。」彼女は嬉しそうに聞いてきた…
「ん〜とね…もえの同級生…」元中の名前はもえっていうんだ。
「わたしの同級生…わかんないし…」もえは少し落ち込んだ感じて答えた。でも俺は自分からゆりちゃんとは言えなかった…ゆりちゃんという一言が俺にはあまりにも重かった…でも自分の口から言いたいとも思った…心の中の矛盾が俺を迷わせていた…
「誰なの。教えてよ。」もえは少しいじけた感じで言った。
「俺……………」俺は腹を決めた。
「俺…………ゆりちゃんのことが好きなんだ…」ついに言ってしまった…「ゆりのこと好きなの。いがいじゃん。一回しか会ってないのに。」もえは笑いながら言った…でもどこか寂しそうな感じがしたのは気のせいだろうか…
「でも初めて好きだって思えたんだ…心のそこからゆりちゃんが俺は……好きだ…」