「華那!?
いつの間に!!」
「ついさっき来たんですよ。
そんな事より…
生徒達が消えて困ってるみたいですね?
まぁ彼等なら当然ですが。」
「おい華那!
何か知ってるのか?」
「知ってるも何も彼らをこの世から抹消したのは私ですから。」
華那はうっとりとした笑みを浮かべて言った。
「えっ?
それはどうゆう…事…?」
堺は意味が判らず混乱している。
「だから言ってるでしょう?
彼らをこの世から抹消したって。
戸籍などの彼らの存在した証拠。
そして、彼らを知ってる者の記憶も消したのよ。
裁きの為にね。
まだ判らないの? 簡単に言えば彼らを殺して、彼らがいた事実そのものを消したって事よ。」
堺は呆然とした表情で華那を見つめている。
対する華那はいつもの様に涼しい顔をして無表情のままだった。
彼女の言った事は突拍子の無い事ではあるがもし本当なら確かにつまじが合う。
父兄が生徒の存在を知らなかったのも説明が付く。
堺は内心かなり焦りながらも華那の言う事を信じる事にした。
「一体何故そんな事を?」
「言ったでしょ? これは裁きだって。
神が悪意に満ちた人間共をこの世から抹消する為よ。 そして私は神の意思を受けし者。
そして貴方はこの世に居てはならぬ存在よ。」
『我、神の意思、パンドラの宿命によりそなたを無に帰さん。』
彼女が堺に向かってそう唱えると。堺の体が透け始めた。
「貴方は教師でありながらいじめを見て見ぬフリをした。
そんな人間はこの世には必要ない。 この世に居てはいけない。
無に帰りなさい。」
「待て!!やめろ!!俺が悪かった!!
だから止めてくれ!!!
頼む!!!」
「我はパンドラ。 神に変わり人間に裁きを与え無に返す者。
言い訳など不要。」
堺は何度も許しを請いながら無に帰して行った。
人間は墜ちてしまった。
見かなねた神は自らの代理であり人間に裁きを与える存在『パンドラ』を人間界に遣わした。
丁度この年を境に世界の人口は減少に転じた。
パンドラ 終