航宙機動部隊第三章・45

まっかつ  2007-08-10投稿
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そして第二期第四日[修正太陽暦一月九日]星系合衆国連合艦隊旗艦《D=カーネギー》―\r

『国がでかいのは良い事だな』
リク=ウル=カルンダハラは己が住居で、与えられた新たなる辞令を目にして、皮肉を口にした。
これまでの太子党との関わりを中心とする一連の確執については承知したが何分僻遠の地での出来事であり少なくとも一方的に貴君が責を負うべきと言う結論は出し難いよってこれまで通り貴君等を信任すると共に今まで以上のサポートを講ずるので頑張って貰いたい―\r
概略その様な事が仰々しい文面で綴られていた。
更に、返信にはおまけが付いていた。
それも受け取る側に色々考えさせられるとびきりのおまけが。
今のままの地位ではやり難かろうとのさして嬉しくもない勿体ぶった前置きと共に、リクとテンペ両者には新たなる役職が追加された。
共和国宙邦最外縁方面総領事全権―\r
これは少年の二倍年を食った本国エリート層でも、簡単には成れない重職だと言って良い。
テンペ=ホイフェ=クダグニンには同副領事職が与えられた。
どちらもこの辞令が届いた時点をもって自動的に就任と見なし、これまでの役職は引き続き兼務してよろしいだそうな。
大出世の報に接して今更少年が喜んで天に感謝する訳が無かった。
『相変わらず適当だよな。新たに人員を出すのを面倒臭がってるだけなのは見え見えだぜ』
半分は真実で半分は自己卑下だ。
確かに本国からすればこの宙域はさして重要ではない上、代役や応援を送るにはざっと四万光年、余りにも遠すぎ、従って任務に支障をきたすのは当たっている。
だが、仮に本国が更迭望むには彼等二人の価値なり貢献は高過ぎもし惜し過ぎだったのだ。
特にリク=ウル=カルンダハラはやはり不思議な政治力ないしは人望力が働いてあれだけ派手にやったにも関わらず、連合艦隊・パレオス星邦上層の対応は太子党への反感も合間って、寧ろ少年に味方する動きが大勢を占めていたのだ。
また、少年達は中央域のネット集合体が如何にも飛び付きそうな素材にもなっていたが、これには本国はかなり迅速に動いたみたいで、強引な揉み消し・はぐらかし工作のお陰で、リクとテンペは幸い彼等の餌食となる悲哀を味わわずに済んだ。



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