〜僕なりに〜

ゆきンこ  2007-08-11投稿
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智也は自分なりに頑張っていた。学校でのイジメに堪えて、中学受験のために勉強もきちんとしていた。なのに、なのに…。
「あんた、まだ泣いてんの?いい加減にしいや」
辛くて部屋で泣いていたら、母や父に怒鳴られた。自分を分かってくれる人はいないんか、と思った。この状況から救い出してくれる人はおらんねんや、と心を塞いだ。
日々暗くなってゆく智也を両親は咎めた。
「あんた暗いで。しっかりしいや、ほんま」
智也はその言葉を聞き流す事しかできなかった。


自分の部屋で今日も泣いた。この頃よく泣くようになった。
「辛いンだネ」
はっと顔をあげた。少女の声だ。
「誰?」
「あなたには私の姿、見えないンだョ」
「見えへんの?幽霊なん?」
「質問が多いンだネ。全部答えるコトはできないンだけど、名前なら教えるョ。ティラっていうンだ。君は智也君だョネ?」
なんで知ってんの?ってきこうと思ったけれどやめた。きっと答えてくれないだろうから。
「そうや、『としや』や。で、あんたなにしに来たんや」
不思議と恐怖は覚えなかった。ティラの声が可愛らしいからだろうか。
「私、辛い人の話をきいてあげるのが仕事なンだ。だから、智也君の話きいてあげるョ」
智也はゆっくりと瞬きをした。ティラが微かに笑ったような気がした。
「僕の事を分かってくれるん?」
ティラが頷く気配がする。智也の心が少し開きかけた。
この少女は僕の事を本当に分かってくれるだろうか。
期待と疑いが心の中でせめぎあう。
話してみようか。この世には分かってくれない人ばかりではないのかもしれない。まぁ、この少女はこの世の人なのか分からないけど。
「全て話すわ」


少女はなんでも聞いてくれた。イジメの事、両親の事、誰も自分を分かってくれない事。思っていた事を全て吐き出すと、とてもすっきりした。自分は話を聞いて欲しかったんや、と思った。
「そっか、辛かったンだネ」
ティラは優しく言った。
「僕、どないしたらいいんやろう?」
「泣く事は悪い事じゃないンだョ。でも、泣くだけじゃダメ。キモチを言葉にしなくちャ。
イジメは自分に欠点があるのカモしれない。もし、自分が正しいって思うンなら自分を信じて行動をしたらいいンだョ。
負けないで。強く生きるンだ」

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