アルは暇をもてあましていた。
ジュリアが夕食を食べに部屋を出てから30分。
アルは部屋を物色することしかしていない。
人間というものは興味深い。
初めて訪れた場所なのに、アルはこれでもか、とくつろいでいた。
ここは落ち着く。
そう思ってアルはベットに潜り込んだ。
それから30分後。
「アルー?いるー?」
ジュリアがもどってきた。湯上りらしく、まだ頬は赤い。
返事は、ない。
「・・・帰ったか・・・」
それもそうよね、と呟いてジュリアはベットに腰掛けた。
そして・・・
「アル!?いたの?」
すでに熟睡しているアルを発見した。
「やだ・・・まだいたの?」
てかなんでここにいるのよ。
考えても答えは出ない。
することもないので、ジュリアはアルの顔を見てみる。
紅い髪。
どこまでも鮮やかで美しい紅。
その髪が、あどけない寝顔にかかっている。
顔にかかった髪をとろうと手をのばしたジュリアは、アルの口がかすかに動いたことに気付いた。
「 」
確かに何か言った。
耳を口元に寄せる。
「シャーナ・・・」
確かに、そう呟いた。
ジュリアは思考を張り巡らす。
シャーナ・・・人の名前・・・やっぱり天使?女の人っほみい名前よね・・・恋人、とか?
考えることに頭がいっぱいだったジュリアは服のすそを引っ張られたことに気付かず、そのままいっきに引っ張られ、
ベットにダイブした。
どうやら、アルが寝ぼけてひっぱったらしかった。
目の前にある顔。
ジュリアは、自分の鼓動が速くなったことには、まだ気付かずにいた。