キングダム 11

るぅ  2006-03-09投稿
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「すぐに子どもを除く住民全員で会議を行いました。現在10歳未満の子どもは男女併せて15人・・誰一人として犠牲に出来る子はいません。最初は町長である私の父が自らの孫・・・つまり私の息子をイケニエにと言いました。でも・・・そんなことは耐えられない。」
エマの瞳から涙がこぼれた。サラやハレですら神妙な面持ちで見守る中、声を絞りだして続ける。
「町民の皆さんもそんなことはできないと言ってくれました。それからすぐに王国騎士団にドラゴン退治を・・と申請したのですが、王国からの返答はありませんでした。」
「ひどい。」
呟くレイラにうなずいて、
「王国は保身第一ですからね。相手がブラックドラゴンとなると騎士団全滅の可能性すら出てきます。」
ジルファが言った。
「でもひどいよねぇ!見殺しにするなんて!」
「ほんとだっ!でももぉ大丈夫だよ。俺頑張っちゃうもんね!」
お菓子を頬張りながら憤慨するサラとハレ。
「で、結局冒険者を雇いにアランジスタまで来たの?」
隣で気だるそうに座っていたラスタがゆったりと聞いた。
「えぇ。ドラゴンと張り合える冒険者がいるとしたらやはりアランジスタでは・・と言うことになりまして。」
「ふ〜ん。」
気の無い返事をしながらチラリとロシアンを見やる。含み笑いをして頷くロシアンへエマが緊張した声を発した。
「何か疑問がありますか?」
「あぁ。」
あっさり言う。
「まず一つ。」
ロシアンが長く綺麗な人さし指をあげた。
「なぜ、俺たちを選んだのか?」
その言葉にキングダム全員が頷く。
「アランジスタにはいくらでも有名な冒険者や傭兵がいる。あの金額ならそうとう高いレベルのやつでも買えるだろう。なのに何故俺たちなんだ?」
「それは・・・ちょうど張り紙を見ていた時にサラさんが後ろを通ったので・・。」
だいたいどこの町でもそうだが、酒屋の表側の壁には冒険者や傭兵、探偵など「求・依頼」の張り紙がたくさん張られている。
「張り紙にも書いていたはずだ。キングダムは探偵事務所。しかも正式に開いたのは先月だ。ドラゴン退治を頼む相手ではないだろう。」
「時間がないので焦っていました。そんな時に偶然出会ったのです。運命を感じましたわ。」
「町の存続がかかってるんだろ?あんたはそんな浅はかな考えをするタイプには見えないな。本当はもともと知ってたんじゃないのか?俺たち・・もしくは俺を。」



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