六月二十二に一人の子供が産まれた。
名は嬌子。生後間もなく父方兄弟の二番目のおばのせいで腹を壊し、薬を飲む。
赤茶の髪はこの村では呪いの子と言われ、忌み嫌う。
母方の祖父は母が幼い頃に他界し、父方の祖父は女の子を嫌い、男の子を大事にする典型的な古い人で嬌子は産まれたが抱かれもせず顔さえ見てくれず喜ばれず。
記憶の中の祖父は上から睨み見下ろすこと以外何も無い。
父は日本で働いており、幼い嬌子たちと母を残して頑張っている。
母は父方の祖父の影響で幼い嬌子より二つ年上の兄を大事にし、父の連れ娘の五つ上の姉を大事にしている。
まだ幼い嬌子と兄を置き畑に働きに行き、嬌子は兄と兄の婚約者と小川で遊んだり、兄と兄の婚約者が居ない時は親戚のおばや従兄姉からの虐めを逃れる為に山に行き、兄や姉、母が帰るまで遊ぶ。
やがて父方の祖父が死に、祖母のお陰で嬌子が五歳の頃、父と姉以外の嬌子と兄と母が日本に一緒に住むことになる。
日本には今まで嬌子が知っている中国には無い物が沢山あった!
家鴨や鶏、山羊、牛に猫や兎は中国の家や近所では珍しくなく、逆にそれらの動物が居なくて、犬という動物が特に珍しかった!
初めての犬に触り、噛まれて以来嬌子には可愛いという気持ちが理解出来なく、むしろ恐くてしかたがなかった。
小学生低学年のある時、母が何かの用事で家を留守にする事があり、嬌子は家に一人ぽっちにされ、大泣きし母を家中探したが見付からず泣き疲れて玄関で寝てしまったことがある。
帰って来た母は嬌子の姿を見て起きた嬌子に泣きながら謝ったが、嬌子が成長するにつれ、嬌子の存在を否定するようになる。
そのきっかけになったのは引っ越して新しい土地で住むことになり、四年生の頃から次第に酷くなっていった。
暴言は当たり前で力が無い小学生の頃は暴力があり、誰の代わりに死ねば良いと言われ、中学生になれば暴言の毎日。父は母の言う事を信じ、嬌子を悪い娘としか見ず、嬌子の言う事を信じてはくれない。
今まで嬌子の唯一の味方の姉も嬌子を見捨て、優しかった兄も面影も無くし好き放題の姉兄。
友達の虐めもあり、短い人生に幕を下ろそうと幾度も首を吊るが上手く逝かず、嬌子は二十歳になった。
二十歳になった嬌子にはある思いがあった。
教師になり、未来の子供に虐待の酷さと虐めることの恥ずかしさを伝える事だ!!