処刑生徒会長7

まっかつ  2007-08-12投稿
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だが、話はこれで終りではなかった。

やがて一部マスコミの取材と内部告発が、真相を少しずつ明らかにし始めた。

更に別の事件で捕まったイジメグループの誰かが、ナツを計画的に自殺に追い込んだ経緯を詳しく自白したのだ。

当然両親は、学校の責任を追求し、イジメグループに正義の裁きが下るよう運動を起こした。

だが、壁は厚すぎた。

学校側の対応は『死人に口なし』と言わんばかりに徹底的な揉み消しを謀った。

偽の診断書やメールまででっちあげ、

『お宅の娘さんはねえ、どうやら援助交際でだいぶ荒稼ぎしていたみたいですよ?

おまけに元々精神に深刻な病を抱えていたみたいだ。

あのねえこれ以上済んだ事をほじくり返さないでくれる?

私達だって彼女のせいで散々振り回された口なんだよ?

もうね、他の生徒にも迷惑。

お宅には充分説明したでしょ?

もう来ないでよ』

娘は元々頭がおかしくそれはお前等の血筋が汚れてるからだとでも言わんばかりの偏見に満ちた対応だった。

イジメグループを擁護するどころか、むしろ教師達は彼等と一緒になって、ナツやナツの家族をイジメる側に回った―少なくとも両親にはそうとしか思えなかった。

結局イジメグループの実名は公表されず裁判も長引き、更にマスコミやネットですら両親側を逆に悪者に仕立てあげる発言や報道を行い、面白おかしく噂を取り上げたりし始めた。

そして、両親の内、ナツの父親は耐えきれずに自殺し、母親は本当に心を病んで、施設に入院してしまったのだ。

イジメはナツのみならず、その親までをも殺した。

一人は命を奪われ、もう一人は心をずたずたにされたのだ。

ケンヤは一年の内に葬式に二度もでるはめになった。

最初は従姉妹の、次には叔父の。

そして、更に半年後、今度は叔母が施設の屋上から飛び降り、こうしてナツの家族は完全にいなくなった。

―いや、違う!

梅城ケンヤは拳を握りしめ、胸の内で強く否定した。

―ナツの一家は殺されたんだ。

イジメによって。

イジメグループによって。

それを家族のせいにした教師達によって。

それをショーにして見世物にしたマスコミやネットによって!

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