疑問に思っていた梅城ケンヤは、小学六年の時に独自にこの件を調べ上げていた。
やがて判明したのは、イジメグループの多くは名門や金持ちの子供達で、しかもそのリーダーの家は、教育省に顔がきく有力者だと言う事実だった。
つまり、学校は彼等に尻尾を振ってナツの家族を口封じすることで『けり』を付けたわけだ。
更に、イジメグループは卒業後いずれも名門校に進学し、そのリーダーに至ってはアメリカに留学し、それぞれ高校生活を満喫しているのだ。
連中が死なせたのはナツだけではなかった。
疑惑まで含めれば、10人近くの同級生が連中のターゲットとなり、自殺したり精神病院送りにされている。
とあるターゲットに狙いを定めてイジメを楽しみ、相手が死んだらまた次のターゲットを見付けては骨までしゃぶり尽す。
ナツはどうしてイジメられたのか。
これも後になって知ったが、きっかけはナツがクラスの人気投票でイジメグループのリーダーを押さえて一位になったことだった。
そう、ナツは弱くもなければ、性格が悪かったわけでも、誰かに酷い事をしたわけでもない。
逆に良いところが妬まれたからイジメで殺されたのだ。
だが、イジメグループからすれば、理由なんかどうでも良かったのだろう。
なぜなら他の事例では彼等はある時には弱い子を、ある時には生意気な子を、またある時には家庭に問題がありそうな子を、成績の良くない子を、それぞれ口実を付けて毎日なぶりものにしていたのが分かっているからだ。
つまり、連中の気に触るか、玩具にしたいと思われれば、誰でも、いつでもイジメのターゲットにされるわけだ。
全ての事実を知って、梅城ケンヤは復讐鬼と化したのだ。
勉強は中位だったが、野球が得意でそれだけで取れた筈のスポーツ推薦すら蹴って、彼は地元の区立第三中学校への入学を決意した。
その時の彼には、両親の心配も先生の説得も、もう耳には入らなかった。
ケンヤは計画を立てていた。
―まず力を付ける。
そのためには生徒会に入るのが一番の近道だ。
―そして、ナツとその家族を殺した連中に最も残酷かつ苦痛に満ちたなやり方で裁きを下す。
そう、この手で。
だが、梅城ケンヤの怒りの対象と計画の最終目的はこれだけに止まる物ではなかった。