MURASAME

あいじ  2007-08-12投稿
閲覧数[628] 良い投票[0] 悪い投票[0]

平将門?

「京介!」
大光明の叫びが可王を捉えた。両手に下げられた小鉄と正宗が亡者達を斬り伏せ道を開いた。
「将門塚へ行きたいのだろう。行くがいい…」
大光明は動揺し可王を見つめた。
「何が…狙いじゃ?」
「特に理由はない。こうしなければならないからだ」
会話の途中も亡者を斬り裂く刃は止まらない、可王は一人また一人と亡者達を薙払っていく。
「ちぃ…」
大光明は軽く舌打ちすると可王の脇を素早くすり抜け将門塚へ走った。亡者達はそれを阻もうと群がったが小鉄の刃の輝きの前にかき消された。
「さあ来い亡者ども我らの神の名の下に、再び冥府へ叩き堕としてくれる」
可王は小鉄と正宗を高く掲げ渦巻くように蠢く亡者の群れへ飛び込んだ。


竜助は襲いかかる亡者達を清姫の刃で貫き将門塚へ走った。「蛇貫転!」
清姫の刃が高速で回転し亡者を砕き弾いた。その衝撃が一体の亡者を貫通し背後に迫るその群れに巨大な打撃を与えた。竜助は息を切らしながらその群れを全速力で駆け抜けた。
塚に近づくにつれ痺れるような波動を感じる。
「これは…将門の邪気か…」
竜助はゆっくりと歩を進め首塚へ続く階段を登った。強大な邪気は段々と強くなり竜助の感覚神経を麻痺させた。
「こ…れは…」
首塚が在った場所には黒い鎧武者がただずんでいた。背中には血管のような管がつながっておりその一本一本が生きているように波打っていた。
「マサ…カド…」
その姿を見た瞬間、竜助の脳から理性は吹き飛び、得体の知れない恐怖が彼を動かした。気が付くと清姫の刃は鎧武者に深々と突き刺さっていた。
「はあ…はあ…ああああ…」
竜助の呼吸が荒くなり鎧武者と目があった。暗く澱んだ輝きが竜助の視覚に入り込む。
「かぁ…あああ」
竜助はその場に倒れこんだ。意識が遠ざかり深い闇へ沈む感覚が彼を支配した。だが、その時黒色の大剣が飛来し鎧武者に突き刺さった。
「真打ち登場!」
明るい声とともに村雨幸司が現れた。




投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 あいじ 」さんの小説

もっと見る

ホラーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ