懐かしい夢を見た。
幼い頃の夢だった。
「シャーナ!!」
紅い髪の少年が自分の紅い翼をはためかせ、目の前の巨木へと飛ぶ。
「アルー!こっちだよー!!」
その木の上から手を振る少女。
少女の髪は銀。
雪のように眩しい。
羽は黒。
深い闇の色。
最も崇高な黒と
最も卑しい銀の二つを持っていた。
「やあっシャーナ!」
アルが木に降り立ち、シャーナの隣に座る。
「ねえシャーナ」
「何??」
「ここはさ、悪魔の領域だけど大丈夫なの??」
「平気よ。私よくここに来るけど悪魔なんて見たことないもの」
シャーナは明るく笑う。
「それに悪魔なんて私にから見れば雑魚よ」
なんてね、とシャーナは笑う。
だがアルは笑わなかった。
だってシャーナは本当に強いから。
天使の最高の黒
悪魔の最高の銀
天使なのにこの二つを持つ彼女は本当に強かった。
「あっ!ほらっ始まるよ!!」
シャーナが前方を指差す。
その先には、美しい光景があった。
青い空は夕日で赤く染まり、悪魔達の領域でしか見られないというオーロラ。
この光景は美しいとしか言えないもので、アルは呆然とその光景を見ていた。
「ねっ、綺麗でしょ」
シャーナがアルに話し掛ける。
その笑顔も、美しかった。
美しい景色が突如歪む。
思いだしたくもない記憶が蘇る。