なんだかね。
今宮崎の旅館にいるのですが。なんとなくあんたのことを思い出してしまいまして。
Y.Hというのは二年前交通事故で亡くなった奴のことです。会ってまだ一ヶ月立ってなかったかな。
まー生きてたら、私と同じだから十四才だね。
こちらは受験生真っ只中ですよ。いっそ死ねたら楽だよなあ、とかね。
あんたが生きていたらどう思うのかね。死にたいと思った?頑張ろうと思った?
あんたは本が好きだったみたいね。そうでもなけりゃあ一年の時から図書委員会なんて入らなかっただろうけど。私もあんたのことを見ることすらなかったろうね。
そんなあんたの両親が学校に本を買うお金を出してくれました。乙一のZOOとか海辺のカフカとかが入ったよ。今年の一学期に本棚が壊れちゃったけど。
学年主任の先生は、私たちの学年は少し素行やら何やらが悪いから学年集会で、「勉強熱心で何事にも一生懸命だった」あんたの話を泣きながらしていたよ。最後に話したあんたの話とか。
あんたが死んだとき、私は全然悲しくなかったんだよ。人って死ぬんだね、くらいしか思わなかったんだよ。
お通夜だっけかな。その時に式場に行ってさ。あんたの名前がどでかく書いてあって、ね。つーんて、きたの。
ねえ、楽しいことと嫌なこと、どうなんだろうね?