私の残像

魔子  2007-08-15投稿
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『情熱的なH体験?』
横目で追うのは下らないタイトルばっかり。マチコは本屋のコミックコーナーで大きな欠伸をしていた。結局選んだのは、もうずっと昔に書かれた古いお話。恋も夢もキラキラと憧れる事が出来た。
 「人があまりにも人として描かれてない、浅い恋愛漫画のような恋を夢見る人間なんて、なんて下らない。下等。」
 帰り道、バスの一番後ろの座席で開いたページに夕日が差し込んだ。
 「恋するってどんなだろう。この本の絵のように、美しい絹のドレイプがふわふわと心を揺らすような、そんなやわらかなものだといいな。」
初夏の傾いた陽射しは、騒々しい街の夕暮れを余所に車内を静かな橙色に染めた。



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