ヤス#128
恭子は店のお嬢様だ。ないがしろにも出来ない。ヤスは付き合う事にした。
「ねぇ、やっちゃん」
「はい、何でしょうか?恭子さん」
「まず、その話し方。何とかならない?」
「そう言われても…お嬢さんは、お嬢さんだし…」
「じゃあ、せめて、この場だけでも変えてくれない?友達になりたいの」
「どんな風に言えばよいのですか?」
「そうね…例えば恋人に話すように…とか」
「恋人…ですか。でも、恋人なんていないから難しいですよ」
「もう。とにかく何とかして」
「…わかったよ、恭子」
恭子は心臓が止まりそうだった。心に染み込むような声だったのだ。恭子は狼狽した。
「あ、やっぱり不味かったですか?」
「あ、いえ…うん。それでいいわ。OKよ」
「わかったよ恭子。これでいいんだね。香織もいいかな?」
「あ、はい。わ、私は嬉しいです」
「で、何を話すんだい?恭子」
「う、うん。やっちゃん、さっき、恋人はいないって言ったわよね。ホント?」
「ハハハ。そんな暇が無い事は、恭子が一番知っているだろう?」
「そうね…やっちゃん、真面目だものね。殆ど仕事ばっかりだものね…」
ヤスは恭子が何を聞きたいのかが分からなかった。