船下一等長が戻って来たのは、それから約1時間後の事でした。
「了解を取って来た。開放許可が下りた。」
どうやら、上と交渉してくれたらしい船下一等長殿は、少女が映るホログラム画像を見ながら、言いました。
「とりあえず、我々は移住者。向こうから見れば、侵入者だ。
文明が栄えているとすれば、争いも起ころう。
我々は戦争をしに来たのでは無い。」
「では、」
「あぁ、鳥籠から出してこい。
その後は、好きにさせて良い」
「了解しました。」
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「━━━━そうですか。」
少女は、その淡藤色の長髪を指で遊びながら、
「あなた方は、何処からきたのですか?」と訊いてきた。
それに対しAさんは、
「この星から遠く離れた、地球という惑星から来たんだ」
と応えました。それに付け足し、
「さっきから、気になっていたんだが、日本語が喋れるのか?」
冥王星に移住してきた大半の人間が、島国勢です。
その中で日本人の人口が他に比べて多いのと、
外国語に比べ日本語は発音が容易だと言うことで、
今は日本語が主流という訳です。