4月。
私はもう三年。
未だにらしくない先輩面。他の友達も三年間の付き合いのせいか、本当にこの部活の先頭に立つ人物にはなかなか見れない。
7月には私達最後のコンクール。
『悔いがないように。』
この言葉が顧問の先生と私達の口癖だった。
後輩は自分等の気持ち、分かってくれてるだろうか?
もしかしたら私達だけが舞い上がってるんじゃないのか。
物凄く不安になった。
でもそんな事後輩に聞けるはずがない。
確かに私達がまだ1、2年の時は先輩の気持ちなんてわからなかった。
知ろうとする事も考えなかっただろう。
だから後輩になんて聞けないんだ……。
どうせ口だけ。
そんな事を思っていた。
少しずつだが、
確かにコンクールまでの日にちは近づいていた。
まだ実感が全くない。ただただ、私が吹くソロの所ばかり、吹き続けていた。
ある日、二人の後輩が私と、同じトランペットパートの友達の所へ小走りでやってきた。
『先輩、明日がコンクールですねっ』
………あっ、そうだった。ふと私はそう思った。
『私、コンクール初めてで緊張するんですけど、先輩と先生のタメに頑張りますねっ!』
………私のタメ?
『先輩、今年が最後だから…。』
後輩は泣き出した。
私と友達は驚いた。
『本当は、怖いです。間違えそうで…先輩に迷惑かけそうで…。』
この後輩は本気でそう思ってる。でなきゃ、先輩のタメにこうも泣けない。
後輩を見た私も思わず泣いてしまった。
大丈夫。出来るって思えば出来るって。明日はいい演奏しよう。悪い事は考えないで。
そう言うと、後輩は笑顔で練習にもどった。
あぁ言った自分はどうなんだ…正直そう思った。