吹奏楽魂 〜後輩の気持ち

胡麻  2007-08-17投稿
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4月。
私はもう三年。
未だにらしくない先輩面。他の友達も三年間の付き合いのせいか、本当にこの部活の先頭に立つ人物にはなかなか見れない。

7月には私達最後のコンクール。

『悔いがないように。』

この言葉が顧問の先生と私達の口癖だった。

後輩は自分等の気持ち、分かってくれてるだろうか?
もしかしたら私達だけが舞い上がってるんじゃないのか。

物凄く不安になった。
でもそんな事後輩に聞けるはずがない。

確かに私達がまだ1、2年の時は先輩の気持ちなんてわからなかった。

知ろうとする事も考えなかっただろう。

だから後輩になんて聞けないんだ……。

どうせ口だけ。

そんな事を思っていた。

少しずつだが、
確かにコンクールまでの日にちは近づいていた。

まだ実感が全くない。ただただ、私が吹くソロの所ばかり、吹き続けていた。


ある日、二人の後輩が私と、同じトランペットパートの友達の所へ小走りでやってきた。

『先輩、明日がコンクールですねっ』

………あっ、そうだった。ふと私はそう思った。

『私、コンクール初めてで緊張するんですけど、先輩と先生のタメに頑張りますねっ!』

………私のタメ?

『先輩、今年が最後だから…。』

後輩は泣き出した。

私と友達は驚いた。

『本当は、怖いです。間違えそうで…先輩に迷惑かけそうで…。』

この後輩は本気でそう思ってる。でなきゃ、先輩のタメにこうも泣けない。

後輩を見た私も思わず泣いてしまった。

大丈夫。出来るって思えば出来るって。明日はいい演奏しよう。悪い事は考えないで。

そう言うと、後輩は笑顔で練習にもどった。

あぁ言った自分はどうなんだ…正直そう思った。



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