「…いたずらされそうになったんだ…初舞台の稽古に行った時に…必死に抵抗したけど、かなわなくて……衣装のカンザシで…」
私は腹部にある処置後を見せた。
相手は始めは、ほんの出来心だったと思う。しかし、私の抵抗が相手を本気にさせたのだ。幼さゆえ、私は自らの魅力には無関心であった。そして、それが他の人の理性を奪うのかを知らなかった。
今の私ならば男と取っ組み合いをしても、勝てる自信はある。しかし、12才の私には、ただ抵抗することしかできなかった。そして、最後の手段としてカンザシで自らを傷つけた。