ヤス#131
恭子は自分の浅はかさに気付いたようだった。そして、素直に手をついて謝った。
ヤスはそんな恭子の姿が意外で好感を持った。
香織が遠慮がちに聞いてきたので、ヤスはかいつまんで自分の経歴を話した。勿論、サトリや龍神の話はしない。
｢…で、先日、美術館で逢った女性が女将さんの親友というわけさ。感謝してるんだ｣
｢そう…そうだったの…なんだか凄いな。尊敬しちゃう｣
｢仕方がないよ。自分の人生だから。運命だと受け止めているよ｣
｢やっぱり…カッコいいわ｣
｢えっ？｣
｢うん。やっちゃんって、やっぱりカッコいいわ。私、大好きよ。香織はどう？｣
｢えっ？…そんな…好き…かな｣
恭子の思考回路は面白い。研究に値するかもしれないと思ったが、やはり、爆弾ではある。地雷を踏まないようにしなくては、職をなくしかねないと自重した。
｢ありがとう…と言えばよいのかな｣
｢そうよ。だって、この美人二人から愛の告白を受けたのよ。喜んでよ｣
ヤスは恭子の額に手を宛てたい思いだった。香織が頬を赤く染めている。
｢恭子、香織が迷惑しているよ。あまり、露骨に言うなよ。
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