ヤス#133
ヤスは香織を抱き寄せると唇を重ねた。
唇を重ねながら、街の女はこうも早熟なのかと感嘆した。香織に続いて恭子との儀式をおこなった。恭子は香織よりも積極的に唇を求めた。ヤスは呼吸困難なって、唇を離した。「ふーっ。恭子は情熱的なんだね」
「ふふっ…これで、やっちゃんは私達のものだからね。浮気しちゃあ、ダメよ」
「えっ?…そう言うこと?」
「そう。そう言うことです」
ヤスは三度、頭を抱えてしまった。
ヤスが住んでいる寮は小綺麗なアパートのような所だった。
勿論、所有者は香月だ。狭いが、ベランダがある。ヤスはそこに折りたたみ式のテーブルと椅子を並べ、コーヒーを飲んでいた。階下から恭子が呼んでいる。
「やっちゃん!忙しい?」
「いいや…何か用?」
「今日はお休みでしょう?ドライブに行かない?」
「OK。降りていくよ」
ヤスは皮ジャンを羽織ると階下に降りて行った。玄関の前で女将さんとぶつかりそうになり、女将さんがよろめいた。ヤスは女将さんを抱きしめる格好になり、女将さんの艶やかなうなじがヤスの唇に触れてしまった。
「すみません!女将さん、大丈夫でしたか?」