傷は深くはなかったが、私はベッドから離れることができなくなった。そして、稽古も出来なくなった。医師からはPTSDの疑いがあると診断された。
「相手は!やった奴は誰だ!それは立派な犯罪だ!」法律家の家に生まれ、後に検事となったシンは、正義感の強い少年だった。
「…有名な家の役者で、今も舞台にでてる…家柄がものを言う世界なんだ…」
花魁家はいわばリュウの駿河家の分家であった。一昔前なら、私はリュウなんて呼び捨てになんて出来なかったのだろう。古いしきたりが減ってきたとは言え、まだまだ上下関係が厳しい世界なのだ。