目の前には一体の人形のような肉。
首から流れ出る血をすすりながらふと考える。
人が人を殺したいと思う理由はなんだろうか?
人を殺す生き物である私が考えるのも馬鹿らしいが、思い出すと止まらない。
『死んで欲しい』と『殺したい』
死んで欲しいなんてのは願望に過ぎない。
しかし殺意は恨みから湧き出る意思。
結果殺人は悦び。
殺したくて殺したのなら、殺せた悦びを感じる事ができる。罪悪感に責められ後悔するのは後だ。
殺人は悦び、嬉しいこと。
嬉しいのなら楽しくなる。
これを血欲と言うのだろうか?
血を見て触るだけでは満ち足りない、もっと感覚で味わいたい。
私は血肉を喰らう。
感じたいから、満たされたいから。
そこに多少の偽りがあっても、結果的には変わらない。
私は自分の為に人を殺すのだ。
鮮血に濡れた口元が歪む。
許されない事だとは分かっているからこそ、もう止められない。
いや…私自身、止まりたいと思わない。