そして、その日の放課後、遅刻した俺は1限目にあった英語の小テストを受けに行ったが、どうやら職員会議中らしく、受けることができない。
とりあえず俺は職員室で待つのは居心地悪いので、教室で小テストの勉強をすることにした。
「明日小テストを受けます。」と置き手紙をして帰れば良かったのだが、定期テストが近くなってきているので、その日に終わらせたかった。
うちの教室の近くまで行くと、何かなぜ入ってはいけないような気がしてならなかった。
しかし、勉強道具は自分の机に置いているからそういうわけにもいかない。
何となく検討はついていたが、ガラス越しに中の様子を見ることにした。
――案の定、深見と楠木さんの二人きりだ。しかし、野球部の掛け声や教室の戸が閉めてあった事もあり、なかなか声は聞き取りづらかった。
しかし今朝の深見や今の深見の軽く赤い表情を見る限り、何となく分かる。
そして深見の口が動いて少しすると、楠木さんの口が動く。
しかし、二人の表情からはどっちでも取れる感じだった。
軽い誠意を込めて「ごめんなさい。」と言っているのか、
OKしているのか・・・・
しかしその後、二人は軽く会話を交わしながら帰る準備をし始めた様だ。
俺は応援していた恋が成就したという達成感と喜びでイッパイになった。
すぐにでも駆け付けておめでとう!とか言いたかったが、普通すぎて面白くなかったので、冷やかしの為に誰もいない隣の教室に入り、二人が出てきたらストーキングしてやろうと思った。(俺バカすぎ・・・・)
ガラガラ・・・・
二人のいる教室の戸が開いた音。
来たっと思い鼓動のスピードが早くなる。
まず深見の姿が見えた。しかし楠木さんの姿が見えない。
鍵を締めるのに手間をとられているか何かだろと思っていたが、一向に現われない。
俺は隠れていた教室を出で、自分の教室を覗いてみた。そうすると物思いに耽って窓の外を眺める楠木さんがいた。
何を考えているのか分からず、暫し見つめていた。
すると、ふとした時に目が合ってしまった。
俺の存在に気付いた彼女は「入ってもいいよ」と言ってくれた。
状況がイマイチ飲み込めていなかったが、とりあえず、入ることにした。