そして、あたしはゆかりさんの運転する車で真紀の家に向かった。
ゆかりさんはあたしに気を使ってくれて、話し掛けてくれていた。
山田は後部座席の窓から、黙ったまま外を見ていた。
ときどき、ルームミラーごしにあたしの顔見ていたのが気になった。
20分くらいで、真紀の家の近くの駐車場に着いた。
ゆかりさんは飲み物とか買いに行くといって、あたしと山田を降ろして行ってしまった。
あたしと山田は一定の距離保ち、横にならんで歩いた。
山田は黙ったままだったから、気まずかった。
しばらく歩くと、真紀の家に着いた。
ピンポーン。
ガチャっ。
「エッ、ゆ・・・。奏ちゃんだよね?
久しぶり。あがってよ。」
「真紀のお兄さん、お久しぶりです。」
あたしは、リビングにとおされた。
山田と真紀のお兄さんが別の部屋に行っしまったあと、20代前半の綺麗な女性が冷たい麦茶を持って来てくれた。
「外は暑かったでしょう。これ、飲んでね。」
「ありがとうございます。」
「奏ちゃん、そんなに緊張しないで。
私、俊也と悟の友達のミカです。
それにしても、あなた結衣さんにそっくり。
悟も、びっくりしたでしょうね。」
「結衣さんって?」
「悟の元カノよ。」
えー。なんで山田の元カノに、あたしが似てるのよ。
山田って、ゲイじゃあないの???
「今は男と付き合ってるけど、悟は好きになったら性別とか関係やつだから。」
関係ないって・・・。
どういうことよ。
「びっくりさせて、ごめんなさいね。
びっくりついでに、後向いてくれない。」
ミカさんの言葉に従って、あたしは後を向いた。
するとそこには、真紀がたっていた。
「真紀!」
「奏、17回目の誕生日おめでとう!」
ぱーん!!
リビングにクラッカーが鳴り響く。
真紀のお兄さんと山田が、17本ローソク刺さったバースデーケーキを運んできた。
あたしはびっくりして、声も出なかった。
「さっ。奏、ローソク消して。」
「うん。」
あたしは一気にローソクが消えず、何回か息を吹き掛けて消した。
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