5両目、一つドアずれた先に

藤原ましーん  2007-08-21投稿
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横須賀線。

品川を過ぎたあたりで私は思う。

「こいつは何て贅沢な輩だ、と」

横浜から東京まで、半年12万円の通勤定期で平日のラッシュにアワーアワーする。

指定の東海道ではなく、横須賀線に乗っているのは、

ひねくれた性格のためではなく、単純に空いているからだ。

空いているとは言っても、限り無く満員電車に近い乗車率であることには相違なく、空席など出るべくもない。

そんな中にあって、幸運にも席に座している輩がいる。

しかし彼はしきりに不満そうな顔を浮かべている。

朝くらいさ。
座れた時くらいさ。
穏やかな顔をしようよ。

もしかしたら大変な悩みに苛まれているかもしれない。

私には知る術もないし、そんなつもりは毛頭ない。

だって他人だもん。

でも、朝っぱらからしかめっ面を向けられる私の身にもなってほしい。

あなたにとって私はただの他人だが、

同じ車両に乗り合わせた間柄じゃないか。



だから、座ってるのが不満なら、

その席、私に譲ってよお願い。

小さなツキに幸福を感じられる私に腰掛けてもらった方が、



座席冥利に尽きるってなもんよ。

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