東京都S区・とある鉄橋の下―\r
『おいおい今日はこれっぽっち〜?これじゃ女と遊べねえじゃん』
桂シュンスケは偏差値70近い有名私立高校に入学し、成績・素行ともに優等生と言って良かったが、そのストレスの処理の仕方も実に手が込んでいた。
土下座して侘びるいじめられっ子の頭にぐりぐりと革靴が押し付けられる。
『あのさあ、遊びじゃねえんだぞ〜?毎日50万持って来るってや・く・そ・く、したでしょ〜?』
そして、火の付いた煙草が相手の首筋にねじ込まれ―\r
『ひ…ひぎゃああああああ』
いじめられっ子は、無様な悲鳴を上げた。
『や〜っぱ、ナメちゃってるね君はね?お〜い、お前ら♪』
シュンスケが左右の仲間に合図すると―\r
『オラッ、早く立てよ!』
リンチが始まった。
近くの土手には下校中の同校生も沢山歩いているのだが、誰もが誰も、見てみぬ振りを決め込んでいる。
中には見物がてらシュンスケ達に声援を送る連中まで現れた。
『ゆるしてくださいゆるしてくださいゆるしてくださいゆるしてください』
制服はびりびりに破け、早くも紫に変色した顔面は醜く腫れあがり始めたいじめられっ子は、シュンスケの膝にしがみつき、命乞いをした。
『う〜ん、しょうがないなあ〜。じゃあ今日はこの位にしといてやるよ。その代わり、明日からノルマは二倍な?』
せせら笑いながらシュンスケは再び自慢の革靴を相手の頭に押し付けた。
そして、流行りの緑の長髪をかき揚げながら、
『あ、そうそう…俺さ来週学園祭があるからお前らと遊べねえわ』
『シュンスケ君の母校ってあの第三中学(サンチュー)?』
『可愛い子いる?俺も行きたいなあ』
『あ〜ムリムリ』
羨ましがる仲間達にシュンスケは手をぱたぱた振った。
『生徒・OBしか出れねえってよ。何でも今の生徒会長はかなり厳しいやつらしくてね』
そして、真下に目を下ろし―\r
『だから俺がいない間こいつと遊んでてよ』
這いつくばったままのいじめられっ子の腹を思い切り蹴り上げた。